2011年3月26日土曜日

カーテンコール


3月も月末に向かう一日――、今年度最後の有給を頂きました。
4月からの新たな闘いに備え(戦々恐々)…、
これまで論文がアンカー(錨)となって長年自分が出来ずにいた、何かアウェイなことが出来ると
いいなぁと思ってました。
一番したかったのは『シルク・ド・ソレイユ』の観賞(ベタですが・恥)。
この6年の間に急激に注目されたエンターテイメントのひとつです。 100万人???が来場したとか。
この時代――、どんなエンターテイメントに人が魅かれるのか――。
あー、駄目ですね。やはり仕事の延長線上で気になってたんですよねー。
しかし、11日以来――、シルク・ド・ソレイユは上演されていません。
現実、殆どのエンターテイメントはやっていなくて――、唯一やっていたのは野田秀樹さん率いる
NODA MAPの東京芸術劇場(池袋)の『南へ』。
http://www.nodamap.com/productions/toSouth/

野田秀樹さんの舞台は――、
その昔――、高校生の時から、それこそ夢の遊眠社が本多劇場で公演していた頃から観ていました。
しかし、全くチケットが取れなくなってしまってから(誇張ではなく本当に取れない)――、
はなっから「野田さんのは無理だよねー」という部類のエンターテイメントでした。
この公演は2月20日の初演から、毎日、開演1時間前に当日券を発売しているとの報。
それをwebで見つけ、しまうまも並んでみました!
あと5人遅かったら絶対に無理だったのですが、ギリッギリの順番。
18時からの当日券が発売される――、ということで、じーっと待っていたところ、10分前に従姉から
電話が…

「今日、一緒にご飯を食べない?」と彼女。
「あー、今日はねー、駄目なのよぉ」としまうま。

「今ねぇ…、NODA MAPの当日券に並んでるのよ」と言うと――、
「え???何???」(聞こえ辛かったらしい…)
「NODA MAP!!!池袋なの」

すると暫くの沈黙の後、彼女は――
「友達が一昨日電話をくれて、行けなくなったのでチケット売りたいって言ってたから、電話してみ
るね!」と。もうビックリです!
その時点であと5分――、と寸でのところで発売開始!でしたが、「買うよー!」と申し出、列から離
脱。従姉とはひとまず食事をすることにし、帰り道にその方が近くの駅まで翌日のチケットを持って
来てくれました。
世の中――、こんなこともあるんですね。本当にびっくりです(驚)!

■ ■ ■ ■ ■
実際の舞台――、事前の先入観・情報無しに臨んで――、本当に面白かったです。
このような状況下で舞台を上演するというのは、上演する側にも観る側にもリスクです。
野田さんはNODA MAPのホームページで『劇場の灯りを消してはいけない』と題し、次のように述べて
います。
・11日から4日間、安全確認の点検を含め、劇場の灯を消したこと
・それは普段から「蝋燭一本あれば舞台は出来る」と豪語していた彼の主張と現実は異なっていたこと
・でも我々は何か――、情報に煽られ過ぎてはいないだろうか――、と疑問を呈し、
・そういった人々の“心”を呼び戻すのもまた、人の“心”であること
・今ある様々な自主規制は、これから先の様々なエンターテイメントの行き場を失くす懸念があること

この彼のステイトメントには、彼らしいスピリットが伺え――、賛同します(原文はNoda Map を参照下
さい)。

久し振りに観た野田さんの舞台は、自分が年を取ったせいか(笑)???難解さが、かなりフラットに
なっていました。
セリフのユニークさや、それまでのコンテクストから全く異なるコンテクストに飛躍するところとか、
キャスティングの妙とか――、素晴らしかったです。
個人的には折りたたみイスとか、竹の棒のような極身近にあるモノをものすごく効果的な小道具に変え
てしまうところや、役者の方達の動きには感嘆!でした。

彼がステイトメントで述べていたように――、日本人の――、煽動への耐性の弱さや、所謂“お墨付き”
のような権力への或る種の迎合に対する問題提起でした。
そういう意味で――、この舞台は今の時期――、確かに賛否両論あったのかもしれませんが、彼が伝え
たかったメッセージとそこに集まった聴衆の気持は同じベクトルだったのかもしれません。

最後に――、舞台で何が楽しみか――、そう聞かれたならしまうまは間違いなく、カーテンコールだと
答えます。
それは彼らが数カ月の練習を経――、最後に演者が素に戻る瞬間だと思うからです。
2時間に亘る舞台を――、
一語一句/一挙手一投足間違えずにやり遂げる――、その時々の聴衆との場の雰囲気でアドリブを入れ
る――、それはプロフェッショナルな仕事以外の何者でもありません。
演者の方々が一斉に並ぶ場面――、これまでの労苦や、或いは闘いの全てが昇華する瞬間でもあります。
エンターテイメントの仕事というのは、しまうまの想像を遥かに超えて――、尽々すごいなぁと思います。
また機会許せば、是非、足を運んでみたいです。

※んーーー、何度もトライしましたが、うまくリンク先が反映されません(涙)…

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