2011年7月16日土曜日

3.11後の社会デザイン――東北の再生と日本の再編



今日は銀座・リクルートビルで開催された『3.11後の社会デザイン――東北の再生と日本の再編』というシンポジウムに
出掛けて来ました。
13時半スタートで19時過ぎまで――、という壮大なプログラムです。

■ ■ ■ 以下、プログラムの内容を転載します。[http://www.heibonsha.co.jp/311/ ]

[シンポジウムの趣旨]


今回の東日本大震災においては、被災地をどう復興するかを考えるだけでなく、これを契機としてこれからの「震災前」の
日本の社会,都市をどうデザインするかを考え直すことが大きな課題となっていると思われます。そこで、建築・都市計画・
社会学・経済思想などの専門家によるシンポジウムを開いて議論し、それを出版し、参加費を被災地に寄付するというプ

ロジェクトを思い立ち、ここに実施することにしました。

幸い、若き俊英藤村龍至さんと、かねてから建築を社会学・家族論・地域社会論的に考え、さらには近年地域社会圏モデ
ルとして実現されようとしている山本理顕さんのご協力を得ることができました。これまで私がお世話になった先生方にも
ご協力いただき、ぜひ実りあるシンポジウムを実現したいと思っております。

なお、本シンポジウムの内容は平凡社新書から10月に出版予定です。
2011年6月1日 三浦展
--------------------------------------------------------------------------------

私は三浦さんがかつて『アクロス』編集部に在籍されていた頃「第4の山の手」と呼んだ1980年代の東京郊外に育ちました。
1980年代という開発主義全盛の風景に育ち、将来の都市計画の一端を担うつもりで大学に入ろうとした矢先、阪神大震
災があり、時代の転換を実感しました。今回、三浦さんと郊外やこれからの都市像を考える議論を何度かご一緒させて頂
いたことをきっかけにお声を掛けて頂き、一緒にシンポジウムを企画させて頂く運びとなりました。

私たちは今、1960年代の「新全国総合開発計画」(1969)、そして田中角栄の『列島改造論』(1972)以後、開発主義で進ん
できた時代のひとつの区切りを経験しつつあります。このシンポジウムは、東日本大震災をひとつのきっかけとしつつも、
グローバル経済のなかで超高齢化社会を迎える日本列島の将来像をどのように設計するのか考えるための、開かれた
議論の場にしていきたいと思います。
2011年6月1日 藤村龍至
--------------------------------------------------------------------------------
[シンポジウムの概要・パネリスト]
総合司会=三浦展、各回司会=藤村龍至

開場 13:00
開会の辞・趣旨説明 三浦展 13:30~13:35
■第1部 社会・地域・政治 13:35~15:45
松原隆一郎……社会経済学、相関社会科学。東京大学教授。景観論も展開。
中村陽一……NPO/NGO論・地域社会論。立教大学教授。
大月敏雄……東京大学准教授。同潤会の視点から震災後の都市、住宅を考察。
島原万丈……リクルート住宅総研。今回の震災で「仮住まいの輪」を立ち上げる。
山本理顕……建築家。山本理顕設計工場主宰。地域社会圏モデルを構想。
藤村正之(ビデオ出演)……福祉社会学。上智大学教授。
(休憩 15:45~16:15)

■第2部 国土・都市・居住 16:15~18:15
大野秀敏……建築家。東大教授。縮小する都市の観点から都市の再編を研究。
松隈章……建築家。阪神大震災で被災。過去の歴史を活かした復興を考える。
山崎亮……コミュニティ・デザイナー。市民参加型の町づくりを行う。
永山祐子……建築家。永山祐子建築設計主宰。
家成俊勝……建築家。ドットアーキテクツ共同主宰。阪神大震災を経験。
山本理顕……建築家。山本理顕設計工場主宰。地域社会圏モデルを構想。
広井良典(ビデオ出演)……千葉大学教授。持続可能な福祉社会を提唱。

閉会の辞 山本理顕・三浦展・藤村龍至 ~18:40

■ ■ ■
しまうまはツイッターで知り、直ぐに申し込みましたが、シンポジウムはあっ!という間に満席だったよう。
今日は20代の――、建築を勉強している方達かな?学生の方々が多かったです。

長丁場で、後半はお恥ずかしながら、しまうまもかなり集中が切れてしまった上に、これだけの内容で進行も遅れ気味
で大変だったけれど、それにしても本当に参加出来て良かったです。

シンポジウムは二部構成になっていて、最初に三浦展さんのご挨拶の後、山本理顕さんが「3.11に、あの流されていく
住宅を見て、これまで自分達 建築家が考えて来た“原理”が覆された」と。
また国の経済成長に寄与する、或る種の神器としての住宅建設の密着性、それまで考えられてきた「一住宅、一家族」
の在り方は実質的に機能不全を起こしている――、と指摘。

前半では東大の松原隆一郎教授のお話や、同潤会の研究をされている大月敏雄准教授の内容は凄くためになりました。
第二部は同じく東京大学の大野秀敏教授のお話は圧巻。ビデオ出演だった千葉大学の広井良典教授のお話も素晴らし
かったです。また、これだけの数のパネリストがいらっしゃるので、登壇されることを見落としていましたが(詫)、コミュニテ
ィー・デザイナーの山崎亮さんの発言も興味深かったです。

全体を通しては山本さんの主張が、このシンポジウムの全体の骨子となっていて素晴らしかったし、三浦さんの要所要所
の総括も素晴らしく――、また司会の藤村龍至さんも様々な論調が交差するテーブルを澱みなく進行されました。

これまで、薄々みんなが気付いていたことや、世の中の“方向性として”向かいつつあったモノが、震災を機に一気に炙り
出された――、というのは正しい表現だと思います。
現実的な社会の構造や、様々に絡みある利権等を考えると、ドラスティックな変革は難しいのかもしれないけれど、内容
によっては既に1960年代から直近では1980年代から――、日本の経済成長と共に考えられてきた様々なシステムが立ち
行かなくなっている事実の中で、今、改めて日本人ひとりひとりが――、それぞれの自分の領域の中で改めて考えていか
なくてはならないのだとも感じました。

しまうまが今日、これを聴きに行ったのは、今日は都市計画、建築、コミュニティーというようなお話でしたが、ヒトが生活
する以上、しまうまが属するような産業領域でも当然、それと繋がっているから。
このようにヒトの価値観が変わることがどう?影響を及ぼしていくのか――、帰り道、そんなことに思いを馳せました。

今回、主催されたカルチャースタディーズ研究所の三浦さんは、どなたもご存知だと思うのですが、時代が次にどういう方
向性に進んでいくのか――、時代読み解く名手でもいらっしゃいます。
しまうま、TVが無いので動く姿を拝見したのは今日が初めて。
これまで著書を読ませて頂いた方だったので、感激でもありました。

やー、本当に勉強になりました。
参加させて頂き、本当にありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿