2011年6月8日水曜日

クリステンセン教授はかく語りき

しまうま、毎朝――、日経BPのメルマガを読んでいます。
や、「読んでいる」というのは正しい表現ではないですね。
タイトルをざーーーっとスクロールして、関心のあるものにだけアクセスします(エライ違い
だ・詫)。
でも大概はそんな時間さえも無く、そのまま一日が経過して――、メルマガそのものをゴミ箱
に捨てる羽目になります。
読みもせずに――、申し訳ない気持ちもありますが、それ以外にも沢山の情報があって――、
自身で取捨選択する以外に仕方がありません。

■ ■ ■
そんな中――、昨日、目を奪われたタイトルがあります 『クリステンセン教授からの手紙』。
クリステンセンとはクレイトン・クリステンセン(Clayton Christensen)、ハーバード・ビジ
ネス・スクールの教授です。
http://www.claytonchristensen.com/

彼はビジネス書としての近年の伝説的名著――
『イノベーションのジレンマ――技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』(2001年 翔泳社刊)の著
者でもあり、その後、続編である『イノベーションへの解――利益ある成長に向けて』(2003
年同社刊))も上梓され、しまうまが語るまでも到底なく――、世界屈指の経営学者です。

■ ■ ■
クリステンセン教授が日経に寄せた――、今回の震災に関する手紙は、日経オンラインの記事
として月曜の朝に読むには、その他の記事とは一線を画す、深い記事でした。
クリステンセン教授は、3年前、心臓発作になり、回復した矢先に小胞状リンパ腫になり、抗
がん剤で乗り越えた――、と思ったら、日曜の礼拝中に脳卒中になり、現在も未だ後遺症があ
るそうです。
この――、事実を知った時点で、教授のその生命力/精神力――、そしてご自身でも語ってお
られるご家族の献身なサポート――、その凄さに、しまうま、クラクラしました。


記事の中で教授はこう言っています。
――(病を)自分自身の不運と抱えてしまった問題ばかり考えていて、私は他の人たちを助け
  たり、奉仕することについて考えるのをすっかり忘れていました。
   (中略)
  私の不幸の原因は自分自身のそうした自己中心的な考え方なのであって、自分自身を(病
  という)“復興” するプロセスを通して、幸福とは私利私欲、私心を捨てることによって、
  初めて手に入れられる心の安息なのだと気づいたのです。

深いです。

日経ビジネスオンラインで公開されている彼の手紙は、あまり長い間公開されているとも思え
ないので(新聞各社、情報も取り下げるのは早いですね/サーバーの容量の問題や、コマーシ
ャル・ベースの問題かもしれず、仕方がありません)、「読んでみよー」という方は早めに目
を通されるのをお勧めします。


彼は『イノベーションのジレンマ』の中で、「偉大な企業はすべてを正しく行なうが故に失敗
するのは何故か――。業界をリードしていた企業が、ある種の市場や技術の変化に直面した時、
図らずもその地位を守ることに失敗するのは何故か 」と問題提起しており、多くの企業事例を
交えながら導いた自身の結論について、最後の章で次のように語っています。

――本書で報告した研究の中で、特に喜ばしい結論は、如才なくマネジメントし、懸命に働き、
  愚かな過ちをあまり犯さないようにすることが、イノベーターのジレンマに対する答えで
  は無かった点である。この発見が何故?喜ばしいか――、というと、筆者の知っている経
  営者はこの上なく頭が良く、熱心に働き、過ちを犯すことの少ない人たちだからである。
  破壊的技術が呈する問題に対して、これ以上優れた人材を探すしか答えが無いとしたら、
  このジレンマを解決することは出来ないだろう――

彼が序章や終章で述べていることと、今回の手紙の言葉には――、改めて深く深く考えさせら
れます。

【写真:『イノベーションのジレンマ』(翔泳社刊)】

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