2012年3月27日火曜日

恵比寿・東京都写真美術館『Robert Doisneau』展



そして、その足で東京都写真美術館で開催中の『Robert Doisneau』展に伺いました。
Robert Doisneauは今回のフライヤーにもなっている“Paris市庁舎前のキス”(1950年)、或い
は“ポロ葱を持つ恋人たち“(1950年)――、その他、ピカソ、鏡の中のココ・シャネルを始めとす
る著名人のポートレイトや、子供たちの悪戯を撮った“呼び鈴”(1934年)等、名前は知らずとも、
写真を見れば「あぁ!アレだ!」と思って頂けるものが、多数あると思います。

この企画展は1912年生まれの、彼の生誕100年を祝うもので――、彼のアーカイヴ40万点の中
から200点を厳選したものだそう。
彼の写真は若い頃から、一ファンとして、かなり観てきたつもりでしたが、こういった展覧会で観
るのは初めてで、時代を追いながら体系立って観るコトが出来、更にその魅力が深まったように
思います。

今回の展示は広範な年代に亘ってはいましたが、特に1930~50年代のフランス庶民の風俗は、
生々しいまでの強烈な印象がありました。
特にドイツ占領下のフランスにおいて、レジスタンスの活動の様子は数枚ですが、貴重な記録で
したし――、何よりも極々普通の人々の日常に着目しようとした視線は、本当に温かさを感じまし
た。今となってはもう誰なのか――、と判別の叶わない、一市民が写し出されるその表情に、彼
らの生い立ちや――、その人生そのものが焙り出されて来るような感覚があります。

一枚の写真が――、それは平面なのにまるで立体となって“場”の空気が立ち昇ってくるかのよ
うです(感嘆)。
この記憶を目に焼きつけたくて、しまうま、会場を2周しました(静々)…

今回の展示では、Doisneauの格言――、も各コーナーに書かれてありました。
これが本当に素晴らしかった――、というか、彼の人となりを深く理解するコトが出来ました。
● 観た人に、その続きを想像してもらえるような写真を撮りたい

● 私の仕事は俳優のようなものだ。撮影する人物の皮膚の内側に入り込んでいくやり方だ

● 社会からはみ出した人たちの中にいることも、同じ背景の中にいるコトを喜んでいたい

● 自分を見失わない為に、私が生み出した規則が、ユーモアと慎みでいたい

● 写真は決して客観的な証言ではない。写真は、時間と共に本の間に挟んだ小さな押し花を思
 い起こさせるような力を担うのだ

最後に――、その瞬間!を追い求めてシャッターを押す――、ということで“イメージの釣り人”とも
言われたDoisneau。
● 人生を通して、自分の為に小さな劇場を作り続けて来た

入り口の最初のコーナーにあったこの言葉が、一番ググッ!と来ました。
“劇場”の定義はいろいろあると思います。
私たちひとりひとりは、今という時代を――、それぞれが主人公で生きている――、置かれている環
境や用意されている演じる舞台は様々あると思うのですが、Doisneauのような巨匠をしても自分が
生涯築いて来た世界は“小さな劇場”でしたかない――、のだ――、としまうまは理解しました。


「自分は芸術家ではない」
彼はそう言い続けた――、ともありました。
その発言が意味する深さが理解出来る(☜んー、それは年齢のせいかも)、素晴らしい展示であ
りました。
会期は5月13日(日)迄――、しまうまももう一度、足を運びたいです(また絶対に!会場をニ周す
るしw)。


【写真:美術館のエントランスのポスター】

※先日、お話しました“サラ・ムーン” レンズは――、見事に!水滴が一日で蒸発し――、普通の
  レンズに戻っております(詫)…

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