2012年1月14日土曜日

生活者を見つめ続けようとした温かな視点――『今 和次郎』展



今日は何としてでも!行きたかった、展覧会の初日に伺って来ました。

しまうま、様々な展覧会やイベントは極力早い時期に伺うよう、心掛けています。
それは「早く観たい!」という気持ちは勿論ですが、以前――、と言ってももう5~6年
くらい前、デザイン系のジャーナリストの方のブログをよく読んでいて――、
その方は――、今思えば誠実な方で、基本、自分が実際に足を運んだものをブログ
に書いておられたのですが、当然、初日や早い時期に行くとは限らず、ブログを読ん
で、「行きたい!」 「観たい!」と思ったらもう終わっていたり、その日が最終日だった
りして、大いに落胆した経験があるからです。

勿論、ブログは――、商業目的にやっておられる方もあるし、その方のように気ままに
やっておられる方もあるし(しまうまもどちらかというとコチラ)――、それは別に誰がど
う?ということではないのですが、「いいなぁ」と思うモノは極力多くの方にお伝えしたく、
全ては到底無理ですが、早めに伺うようにしています。
■ ■ ■ 

で、話を今日の出来事に戻すと――、
今日の展覧会は汐留にあるパナソニック・ミュージアムで開催中の『今 和次郎――
採集講義』展(写真)。
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/12/120114/

彼は『考古学』ならぬ、『考現学』を提唱した人物。
つまりトコトン!、“今”――、という時代を、あらゆる切り口から見つめようとしたので
す。
有名なのは今回のポスターにも使われている、彼が1925年の銀座の街頭で調べた
従来の和装と徐々に着用者が増えて来た洋装との対比。

しまうま、彼の存在を知ったのは『日本におけるラグジュアリーとは何か』の原稿を依
頼された、今から4年くらい前でした。
結局――、この原稿は他の方に取って代わられてしまい――、日の目を見ることはあり
ませんでしたが(ま、ま、こんなこともある・涙)、これに費やした1年強に亘る様々な思
考の紆余曲折とそれに伴うリサーチの労力は(お金も掛かった・涙)――、
その瞬間、ガラガラと崩れ去り、落胆の一途でしたが、結果、しまうまの思考の幅が
拡がることにもなり、今はポジティブに受け止めています(粛々)。
■ ■ ■

今さんの生い立ちや、こういった現代で言うフィールドワークに至ったのか――、
その軌跡は初めて知ることばかりでとても勉強になりましたし、
今回は彼の様々な資料の残る工学院大学のアーカイブが資料を提供し、本当に素晴
らしい内容になっています。

生活者に関わる仕事に携わる全ての方に観て頂きたいなぁ…
全体を通して、彼の生活者に対する(その生活者は本当に、当時の極々普通の生活
者たちなのであります)、彼の中に沸き起こる止め度も無い好奇心と――、本当に温か
な視点が感じられて、本当に感激しましたし、
当時は――、というか今さんご自身がこの分野の開拓者であったが為に、今のように、
何を切り口に?
誰に??
どのように???

なんていうことが、何ひとつ存在していなかった時代に(当時の米国には既にあったの
だと思いますが)、今さんはご自身の興味の赴くまま――、足を、手を、目を、耳を――、
五感を使って、その片鱗を掴もうとされた――、そのことは本当に凄いし、現代社会に
生きる情報過多の我々は、今一度――、五感を使う体験が必要なのかもしれない――、
そう感じた展覧会でした。


※ついつい妙に力が入ってしまい、すみません(詫)。会期は3月25日迄です。

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